公的年金運用損過去最大の-14兆8039億円!←トータルで見ればまだまだプラスやで

佐藤 祐(さとう ゆう)です。(@TSUMITATE_NISA

2019年2月1日(金)に公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2018年度第3四半期10~12月期に14兆8039億円の運用損を出し、四半期ベースで過去最大の赤字であることを発表しました。

 

過去最悪の運用損でマイナス148039億円!!ドヤ!!!

みたいな見出しで記事が出ており、大きなインパクトがあります。

こういうことを記事にして出すと、「年金運用はいったい何ヘマしているんだ!」「株なんかに大事な年金ぶっ込んでるんじゃねえ!」「年金オワタ!」という感じの意見が飛んでくるんです。

そうやって年金の運用が全然うまくいっていないという感じで見せたいという気持ちがにじみ出ているのがわかります。

しかし、公的年金の運用は全部トータルで見ればプラスで増えているんですよね。

トータルでは増えている運用金額

公的年金の運用で損を出すと必ず「こんなに運用で損を出していますよ!!」っていう記事が出て、表面だけを見れば大事な年金を溶かしているように見えますが、もう少し深く見る必要があるはずです。

2018年度第3四半期の運用状況の公表に当たっての髙橋理事長コメント

2018年度第3四半期(10月~12月)は、世界経済と企業収益の先行きに対する懸念等から、投資家のリスク回避姿勢が高まり、国内外の株式市場が大幅に下落しました。一方で、安全資産とされた米国債や日本円へ資金を振り向ける動きが強まり、金利は米国を中心に低下し、為替は主要通貨に対して大幅な円高となりました。このような結果、10月から12月までの運用資産全体の運用実績はマイナス9.06%となり、市場運用を開始した2001年度からの累積収益額は56兆6,745億円(年率プラス2.73%)となりました。
当法人は長期的な観点から運用を行っており、投資原則・行動規範を遵守し、年金財政に必要な積立金を残すためにしっかりと受託者責任を果たしてまいります。

出典:https://www.gpif.go.jp/operation/the-latest-results.html

公的年金は長期的な観点から運用しているので、今回の14兆8039億円というマイナスだけを見て、公的年金の運用は間違っているというのは違います。

 

↑こちらはGPIFの2018年度第3四半期の報告書から持ってきたもので、2001年度から始まった公的年金の運用は平均で年率2.73%ずつ増えており、トータルで56.7兆円増えています。

2018年度第3四半期10~12月期に14兆8039億円のマイナスになってしまったのは痛いですが、この時期は世界経済を見ればわかる通り、市場の状況が低調でした。

10月の頭までは絶好調でしたが、その後は不調続きになってしまってこのような結果になってしまったので、運用の仕方が悪いというわけではありません。

株式投資をしている人であればわかりますが、この時期に多くの人の資産が溶けています。

 

 

公的年金を運用しているGPIFのポートフォリオ(資産の割合)は「外国株式」「外国債券」「国内株式」「国内債券」の4つに分類され、それぞれに公的年金の資金が振り分けられています。

外国株式が25%、外交債券が15%、国内株式25%、国内債券35%の割合で分配されており、バランスのとれた運用をしています。

基本的に、マイナスとなった要員は株式資産が目減りしたことが原因ですが、株式は短期で見れば株価は上げ下げを繰り返すので、上がるときもあれば下がるときもあるので、どれだけ凄腕のトレーダーでも損を回避することは非常に難しいです。

 

株式の運用は正しく長期的に投資すれば、時間が経てば経つほど増えるのが基本です。

もし、GPIFが正しく運用していなければトータルで見れば公的年金の運用額は大して増えていないか、逆に減っていることもありえます。

2001年度から56.7兆円も資産が増えているということは正しく運用できているということなので、ニュースや記事で「公的年金の運用で損がすごい」というのは悪い面しか言っていないのです。

ニュースや記事はインパクトがあればあるほど注目されるので、こういったマイナスのインパクトを使うことはよくあります。

研究によれば、良い出来事と悪い出来事では悪い出来事の方が7倍も印象に残るという結果も出ているので、注目を集めるには悪いニュースを出した方が目立つため、悪い面を見せているのです。

2018年度第3四半期10~12月期に14兆8039億円の運用損を出したのは間違いありませんが、トータルで56.7兆円の収益を上げている事実もしっかり見るべきです。

 

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