佐藤 祐(さとう ゆう)です。(@TSUMITATE_NISA)
アメリカで話題になっている現代貨幣理論、現代金融理論などと呼ばれているMMTの根拠となる事例が日本であることが判明しました。
そもそも、現代貨幣理論は簡単に説明すると、自国通貨を発行している国は自国通貨でお金を刷ることが自由にできるので、どんどん刷って赤字財政になっても平気という理論です。
つまり、「借金なんてお金を刷ってちゃちゃっと返せばそれでええやろ」ということです。
この理論を現代貨幣理論と呼んでいるのですが、この根拠となるのが日本であり、国内総生産(GDP)の240%の債務を抱える日本がアレなんだからイケるだろうということになっています。
確かに、年間30兆円もの国債を発行し、財政健全化を目指しているのに歳出は増え続け、税収は横ばいの日本では、借金をしなければ国が持ちません。
政府は国債を刷りまくらないと、お金が足りない状況です。
それにも関わらず、インフレにならない日本は現代貨幣理論を具現化するにふさわしい手本と言えるでしょう。
目次
できるかどうかは信用次第

現代貨幣理論は「政府はお金をどんどん刷ってもOK」という理論が通用する国はごく限られた国しかできません。
条件としては自国通貨を発行しており、その通貨が世界で信用のある通貨であるということが前提条件です。
現在非常にヤバい状態のベネズエラが現代貨幣理論を応用しても、効果はなく、さらに悪化することが容易に考えられるように、通貨の信用と国力が大きく関係してきます。
つまり、円やドルなどの経済大国の自国通貨であり、世界でそれなりに信用のある通貨であれば、現代貨幣理論は通用するということです。
世界でそれなりに信用のある自国通貨を発行しており、経済大国で返済能力のある国はほとんどありません。
4大通貨である、ドル、円、ポンド、ユーロくらいなので、現代貨幣理論はそう簡単に導入できるものではないのです。
ユーロはヨーロッパの経済共同体なので、導入するのはかなり難しそうですね。
できるとしたら、日本、イギリス、アメリカくらいでしょうか?
もしかしたら、人民元の中国もイケるかもしれません。
どちらにしろ、現代貨幣理論が通用する国は指で数えるよりも少ないです。
多くの経済学者などが、現代貨幣理論を「魔法」と言っているのはこれが理由であり、この魔法はごく限られた国でしか通用しないと考えられます。
そして、現代貨幣理論のお手本とされる日本は、世界でも特殊な事例であり、一般的な例には当てはまりません。
実際にコントロールできるかどうかがわからない

実際に、現代貨幣理論を導入すれば、間違いなくインフレになり、金利が上昇します。
いくら刷っても大丈夫と言われても、やっぱり借金が増え続けると不安になりますよね。
そういった部分を解決するために、現代貨幣理論では課税や失業者救済プログラムにより、インフレをコントロールすることができるとしています。
借金しまくって不景気になったときのために、失業者を救済するシステムを作るとか、高くなったインフレを抑制するために、課税するというやり方でインフレをコントロールするつもりなのです。
現代貨幣理論の論理からすると、税金というのは、政府の借金を返すためのものではなく、インフレを調整するための道具らしいので、税金の概念も180度反転しています。
このような感じで、結構楽しそうな感じの理論なのですが、実際にやってみてうまくいくかどうかは不明です。
一度ヘマをすると、財政破綻(デフォルト)に陥る危険があるため、こういった大胆なやり方を政府は取りづらいのが現実です。
日本がお手本といっても非常に特殊な環境なので、一般的な例としては使えません。
実現すれば、今よりもお金の面で良い思いができそうですが、万が一失敗してしまうと国がヤバいので、実際に導入するにはかなりの覚悟が必要になると思われます。
経済をコントロールするのは簡単ではないですよね。
画期的な理論であることは間違いないのですが、実際にやるにはためらってしまうのが普通ではないでしょうか?