アメリカ財務省が中国を「為替操作国」に認定するとどうなるのか?今後の影響は?

佐藤 祐(さとう ゆう)です。(@TSUMITATE_NISA

アメリカ財務省が中国を「為替操作国」に認定したことで、株式市場の株価は下落、ドル円相場は円高になり、1ドル106円前後まで上がっています。

米財務省は5日、中国を為替操作国に認定したと発表した。中国人民銀行(中央銀行)は米国の対中追加関税第4弾への対応として、人民元安を容認していた。

引用:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-05/PVSADR6KLVR501

中国の通貨である人民元は、1ドルあたり7元よりも安くならない数字を目安にしていた為替ですが、先日からの貿易摩擦の影響もあり、1ドルあたり7元を超えるドル高元安となったことから、中国はアメリカに「為替操作国」として認定され、対する中国は人民元の下落を容認し、米国からの農産物輸入を停止を発表しました。

目次

為替操作国に認定されるとどうなる?

為替操作国認定によって直ちに制裁を発動することにはならないものの、金融市場を混乱させる恐れがある。米財務省は通常、議会への半年に1度の報告で操作国認定を行っており、今回の行動は例外的措置。次の報告書は10月に予定されている。

通常、為替操作国の認定が行われると、政府は相手国政府に交渉を求める必要があるが、米中当局者は既に1年余り前から貿易協議に取り組んでいる。認定から1年後に進展がなければ、中国企業が米政府契約の競争入札への参加を禁止されるなどの制裁に直面する可能性がある。

引用:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-05/PVSADR6KLVR501  Bloomberg

為替操作国かどうかの認定は半年に一度行われる報告により、認定するかどうかを決めていますが、今回の認定は例外であり、直近の貿易摩擦が影響しています。

 

為替操作国に認定された国は、アメリカと協議し、正常化する交渉をすることになりますが、今回の中国との貿易摩擦は交渉してもらちがあかないことを承知しての認定であることから、為替操作国に認定→経済制裁という流れになると思われます。

 

中国としては、為替操作したかどうかは定かではありませんが、人民元の下落を容認し、アメリカの農作物の輸入をストップする対抗措置をしたことから、しばらくは貿易摩擦は解決しそうにありません。

どちらかが折れるまではこの状況は続くと思われます。



今後の展開にどう影響するのか?

中国が為替操作国に認定されたことで、ニューヨークダウ平均株価は前日比-767.27
(-2.90%)の25,717ドルとなり、今年最高の下げ幅を記録しています。

日経平均株価も一時600円程度下げていますが、2万円を割っていません。

 

中国が為替操作国に認定されたことで、貿易摩擦が深刻化すると考えての売りが多くなっていますが、一時的な売りであり、長期的な売りにはならないと考えています。

 

アメリカと中国の経済状態を見れば、アメリカの経済は好調ですが、中国の経済状況は去年の12月頃から悪くなっています。

 

貿易摩擦の影響で中国の経済は悪影響を受けており、中国からアメリカへの輸出額はアメリカから中国への輸出額よりもかなり高いため、中国のほうがより影響を受けやすい状態にあります。

 

今後も貿易摩擦が続けば中国国内の経済悪化により、中国政府はなんらかの対策で状況を打破しなければならないことを考えれば、アメリカが有利になると考えられます。

アメリカ経済と株式市場の動きは中国との貿易摩擦があるなかでも好調をキープしていることから深刻な問題になる可能性は低いでしょう。

 

そんじゃ、また明日。